早野会長講演会が03歳児コースで使用している中村公園駅近くのフィオリーレで行われました。
特別版 道しるべの会 案内 HP用 平成29年(2017)4月発行(5月開催分)
早野会長について → 早野龍五会長ってどんな人?
お天気に恵まれたGW初日、名古屋市内の会場に早野龍五会長をお招きしお話を伺いました。会場には東海地区から53名(指導者・スタッフを含む)が集まり、早野会長のお話にメモを片手に真剣に耳を傾けました。
まずは、先生の生い立ちからスズキ・メソードとの出会い、そして鈴木鎮一先生の思い出に続き、物理学の研究に進まれた経緯をお話しくださいました。アメリカ西海岸とカナダでの研究生活を経て、東京大学教授職に就かれた後、スイスのCERN研究所で20年以上にわたる研究を続けていらっしゃいます。一方、2011年3月の東日本大震災以降、多くのお時間と労力をかけて、福島の第一原発にかかる放射線に関する支援を続けていらっしゃることもお話しくださいました。
一旦、スズキ・メソードと距離をおかれていらっしゃいましたが、2013年世界大会で基調講演をお引き受けくださったことを契機に、スズキ・メソードや幼児教育について考察されたとのこと。複数の書籍*の紹介をしながら、その内容をご披露くださいました。
*「幼児教育の経済学」(ジェームズ・J・ヘックマン著)
*「超一流になるのは才能か努力か?」(アンダース・エリクソン著)
スズキ・メソードでは、毎日決めた通り練習をし、1曲をちゃんと仕上げて次の曲へ進むということを常としていますが、これがとても大事とのこと。これにより、粘り強く終わりまでやり遂げ、何かをきちんとできる性格の人に育つことができる。
また超一流になるためには多くの時間と努力が必要ですが、スズキ・メソードの経験者ならば、曲が弾けるようになったのは自分に才能があるからではなく、練習(努力)したからと、そのことを自明の理として知っている。人生はできないことに直面し、新しいことを学び続けていくことの連続。できないことに「才能がないから」と言ってしまうのではなく、「まだやって(努力して)ないから」とスズキ・メソードで育った人ならば素直に思える。つまり、どれくらいのことをするのに(目標設定)、どれくらいのことをしないといけないのか、ということが自分自身で評価でき、達成できる人になるということ。
それでは、こうしてスズキ・メソードを通して、粘り強く最後までやり遂げる力、そして自分で目標設定をして自分で達成できるすばらしい力を身につけるのは「何のために」・・・?
この究極の質問に対するお答えは・・・鈴木鎮一先生の著作名である「愛に生きる」でした。
鈴木先生は「(スズキ・メソードでは)音楽家を育てるのではない。良い市民を育てるのだ。」ということをよくおっしゃっておられました。鈴木先生のおっしゃる「良い市民」とは、生まれつきではない高い能力を身につけて、それを自分自身がよりよい生活をするために使うだけではなく、何かよりよいものを次世代に残していくことのできる人。自分の生きた証として、惜しみなく、次の世代に自分が身につけた能力を与えていくことのできる人のことを指しています。つまり、立派に子どもを育てる、よいよい社会になるようにしていく、そしてひいてはそれが世界の平和につながることをスズキ・メソードは目指しているんです。まさに「愛に生きる」ことなのですね。
この日の参加者は、スズキ・メソードで能力を身につけることの真意をお聞きすることができて、みな大満足。途中、才能教育課程卒業者の追跡調査で、立派な社会人を多数送り出していることを裏付ける実績データのご紹介もあり、説得力のあるお話に参加者も大きくうなずいていました!(スズキ・メソードで得られる能力は)一生の宝です!のお言葉を胸に刻んだ1日でした。
以上
ちょっと一言・・・講演中、楽譜を読んで楽器を弾くということは、時間を越えて、バッハやモーツァルトの感性や知性と語りあうようなものと表現された早野会長。これは、アインシュタインの数式を読んで、彼の思考を辿るのと大変よく似ているようなものでして・・・とおっしゃるあたりはさすが物理学者でいらっしゃいます!
文:道しるべスタッフ 阿部
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