10月7日に松本の才能教育会館で「鈴木 鎮一先生 生誕120周年記念コンサート」が行われました。当日は快晴に恵まれ行楽日和で、松本市内もちょうど「そば祭り」が開催されており多くの人で賑わっていました。例にもれず私も蕎麦を一杯いただきお腹も心も満たされました。
🎼コンサートは会長の挨拶に始まり、
♩鈴木先生作曲の「弦楽アンサンブルのためのワルツ 二短調」
♬東 誠三先生によるモーツァルト作曲「ピアノ協奏曲 第12番 イ長調」
♫鈴木先生に学びアメリカで活躍中のヴァイオリニスト・鈴木 秀太郎さんと恩師 豊田耕兒先生とのモーツァルト作曲「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調」
🎶会場の方々も一緒に鈴木先生作曲「キラキラ星変奏曲」で幕を閉じました。
ワルツでは鈴木先生が結婚された当時のドイツでの舞踏会を偲ばせる曲でしっとりとかつ優雅な印象でした。東先生の繊細で緻密でかつ軽快なモーツァルトでは、特に2楽章で先生の円熟された演奏が心に沁みました。
そしてヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲では、鈴木先生がヴァイオリン、豊田先生がヴィオラを務めました。ソリストのお二人の年齢合わせるとなんと166歳!!! 正直大丈夫だろうかとドキドキしていたのですが、演奏が始まったらそこは大家のお二人、体に染み込んだ音楽が楽器を通して表現され、お二人の世界に引き込まれる演奏で大変失礼な心配をしてしまいました。こんなおじいちゃんたち(失礼!)になりたいと思いました。
しかも豊田先生はワルツとピアノ協奏曲の指揮までしてヴィオラを演奏したのですから、我々舌を巻きました。本当にすごいです。
最後は客席で楽器をお持ちの方々と一緒にキラキラ星変奏曲の演奏でステージに飾ってある鈴木先生の写真のお顔がニコニコされているように感じました。
すべての演奏の後、最後に豊田先生が発した言葉が胸に残りました。
スズキ・メソード創始者でもある鈴木先生は生きていらっしゃったら120歳! 生前「私の定年は120歳だからね」とおっしゃっていましたが叶わず、1998年1月26日に99歳でお亡くなりになられ没後20年という年でもあります。
鈴木先生が生きていらっしゃったら昨今の情勢を見てどう思われるだろうかと思う時があります。鈴木先生が願っていた音楽を通しての人間教育、世界平和…先生が生きていらっしゃったころより人間の生活が便利な方向に発展する中で見失ってきたものが多々あることを考えると、逆に進化ではなく退化かもしれない…とも思います。
ですが鈴木先生の薫陶を受けた先生方の演奏と姿を見て、鈴木先生が望んだ我々が向かっていく世界への道筋と情熱を改めて感じました。もう一度「愛に生きる」を読み返そうと思います。